【日本郵政】減損損失4003億円 豪子会社が不振 民営化後初の最終赤字へ

 日本郵政は25日、平成29年3月期連結決算で、27年に買収した豪物流大手トール・ホールディングスの業績不振を反映し、4003億円の減損損失を計上すると正式発表した。最終損益予想は従来の3200億円の黒字から400億円の赤字に下方修正。連結最終赤字は19年の郵政民営化以降初めて。買収戦略の甘さを露呈した日本郵政は、海外事業の立て直しを進める方針だ。

 損失として計上するのは、トールの買収額から純資産額を差し引いた「のれん代」の全額約3900億円など。のれん代はブランド価値に当たり、トールの収益力が目減りした分を損失計上する。一方、売上高に相当する経常収益は従来比900億円多い13兆3300億円、経常利益は100億円多い7800億円にそれぞれ上方修正した。1株当たり25円の期末配当予想は据え置く。

 日本郵政長門正貢社長は東京都内で記者会見し、「重く受け止めている」と強調した。日本郵政と、トールの直接の親会社である日本郵便の主な役員は6カ月間、月額報酬を5~30%削減する。20%の対象は、長門社長と日本郵便の横山邦男社長。トール買収時に日本郵便の社長だった高橋亨同社会長は30%削減し、代表権を返上する。

 一方で、長門社長は「負のレガシー(遺産)を断ち切り、攻めの経営のスタートラインに立つ」と説明。トールについては売却せず、30年3月期に1700人超の人員削減やガバナンス(統治)強化などで立て直したい考えだ。

 日本郵政はゆうちょ銀行、かんぽ生命保険日本郵便を傘下に持つ。本来、稼ぎ頭として期待されるゆうちょ銀とかんぽ生命は、日銀が導入したマイナス金利政策による超低金利で運用環境が悪化している。

2017.4.25 21:40
http://www.sankei.com/economy/news/170425/ecn1704250027-n1.html http://mastetae.xyz/