【食品】「ジビエ」認証制度創設へ 農水省、品質管理と有害鳥獣対策の“二兎”追う

 農林水産省ジビエ(野生鳥獣肉)の活用を促進しようと、品質を保証する認証制度を創設し、今年度中に運用を開始することが24日、分かった。捕獲場所や処理加工施設などを表示して肉の安全性を保証するのが目的だ。また、猟師が減少傾向にあり、シカやイノシシなどによる農作物への被害が高止まりする中、ジビエの流通量を増やすことで有害鳥獣対策を加速させる狙いもある。

 農水省が公認した認証機関が、ジビエの処理加工施設に対し、厚生労働省が定める衛生基準などに適合しているかどうかを審査する。合格した処理加工施設は解体・加工されたシカ、イノシシ肉といったジビエに、捕獲場所を表示するとともに認証マークをつけて市販することができる。

 認証制度にあわせて、農水省は牛肉や豚肉と同じように、ロースやヒレ、モモなどジビエについても部位の定義を明確にする。

 野生鳥獣は、迅速な処理が品質を大きく左右し、衛生管理も難しい。農水省によると、食肉に活用されるのは、捕獲された14%にとどまる。さらに、飲食店との相対取引が主で、利用されるのは牛や豚のロースやヒレにあたる背骨付近の肉がほとんどだという。これらの部位は流通量が少なく、高価格になりやすい。逆に、買い手のない他の部位は廃棄されるか低価格で投げ売りされている。

 また、野生鳥獣による農産物の被害額は、平成27年度は176億円だった。政府は25年、シカとイノシシの生息頭数について、23年の425万頭から10年間で210万頭まで半減させる目標を掲げた。農水省は狩猟以外の有害鳥獣対策として駆除数を増やすなどして捕獲数の増加に取り組んでおり、26年の捕獲数はシカで58万頭、イノシシが52万頭だった。

 農水省は「ジビエ料理の人気が上がってきていて、飲食店も増えている。ジビエの活用は地域振興にもなる」(幹部)とし、さまざまな部位の消費を促すとともに、猟師の収益性の向上につなげたい考えだ。


2017.4.25 14:32
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