【コラム】カネ、不倫、放言…安倍チルドレンは酷すぎる なぜ国会議員は子どもだらけになったのか 泉宏 [04/26]

カネ、不倫、放言…安倍チルドレンは酷すぎる
なぜ国会議員は子どもだらけになったのか
泉宏:政治ジャーナリスト
東洋経済:2017年04月26日
http://toyokeizai.net/articles/-/169266
(全文は掲載元でどうぞ)

北朝鮮危機」で国民の政治への関心が高まり、安倍晋三首相による"1強政権"が求心力を強める中、自由民主党当選2回生の相次ぐ不祥事が政権の足を引っ張っている。
最新の共同通信世論調査でも73%が「政権の緩み」と回答するなど、史上最長を狙う安倍政権のアキレス腱ともなりかねない状況だ。

(中略)
もちろん議員達の活動ぶりは様々だが、問題児続出の背景には議員"大量生産"に伴う政治家としての「資質」の欠如が際立つ。

「不倫のDNA」の中川氏は議員辞職のピンチ

最新の不祥事の当事者は中川俊直衆院議員(47)=広島4区=だ。
中川氏は4月18日に突然、経済産業政務官を辞任した。
20日発売の週刊新潮が同氏の不倫問題を報じることが理由で、18日夜、自身のフェイスブックで「家族がありながら、会社員時代からの知り合いの女性に好意を抱き、その方を深く傷つけてしまい、誠に申し訳ない気持ちでいっぱいです」とのコメントを掲載し「すべて私の不徳の致すところであり、言い訳のしようがありません。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
しかし、政務官の不祥事だけに野党側の反発で国会での委員会審議も空転し、事態悪化をおそれた自民党執行部は21日に中川氏に離党を促し、同氏も離党届を提出、受理された。

中川氏は祖父から3代続くいわゆる「世襲議員」。
父親自民党幹事長も務めた秀直氏も、同じ女性問題などで第2次森内閣官房長官を辞任した経緯があるため、ワイドショーも一斉に「不倫のDNA」などと騒ぎ立てた。
国会運営への影響も出たことから自民党二階俊博幹事長も「中川なんて見たこともない」と怒り心頭で、中川氏が所属する細田派を通じて党から追放した。

ただ、かねてから闘病を続ける妻を裏切っての不倫だけに、野党側は「人間として失格」(蓮舫民進党代表)などとして議員辞職を求めている。
永田町では「政治資金疑惑に関する続報もある」(自民幹部)とされるため、展開次第では議員辞職も避けられない状況だが、辞職に伴う広島4区での補欠選挙での敗北を恐れる自民党は「何とか時間を稼いで、辞職を防げないか」(執行部)と頭を抱えている。

中川氏は2012年12月の衆院選で初当選した「安倍チルドレン」。
民主党政権への国民の不信が爆発して自民党への政権再交代につながった歴史的な選挙で、119人の新人議員が誕生した。
公募で当選した「風頼りの落下傘議員」が目立ったが、2年後の衆院選も"安倍ブーム"が継続していたため、9割近くが当選2回となった。
ただ、「地道な選挙活動より好き勝手に行動」(自民長老)する議員が多く、次々に不祥事を起こす原因ともなっている。

「未公開株」「ゲス不倫」「おんぶ視察」と続々

時系列でみると、最初にスキャンダルを起こしたのは武藤貴也氏(37)=滋賀4区=だ。
2015年に「知人に未公開株の購入を持ち掛け、金銭トラブルになった」との週刊誌報道を受けて離党に追い込まれた。

さらに2016年には宮崎謙介氏(36)=京都3区=が「妻の妊娠中の不倫」発覚で議員を辞職した。
同氏の妻は当選同期の金子恵美氏(39)で、夫として「国会議員で初の育休をとる」と宣言して"イクメン議員"としてもてはやされただけに、同時期の有名芸能人の「ゲス不倫」事件とも絡めた激しいバッシングの中、「涙の記者会見」で辞職を表明。
これを受けた京都3区の補欠選挙では自民党が不戦敗を強いられた。

そのあともチルドレンの不祥事は続き、2016年9月には内閣府政務官兼復興政務官務台俊介氏(60)=長野2区=が台風の被災地を視察した際に長靴を持参せず、
政府職員に背負われて水たまりを渡って厳しく批判されたのに、今年3月になって「たぶん長靴業界が儲かったのでは」など放言したため政務官辞任を余儀なくされた。

(以下省略)


泉 宏 :政治ジャーナリスト 1947年生まれ。
時事通信社政治部記者として故田中角栄元首相の首相番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。
時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。
「生涯一記者」がモットー
http://mastetae.xyz/