【地方】後継者不足の事業主とマッチング 移住者の継業を支援 和歌山県が5月開始、補助金も

 過疎地域で後継者を求めている事業主と意欲ある移住者(希望者を含む)のマッチングや引き継ぎを支援し、地域の活性化を図ろうと、県は25日、「わかやま移住者継業支援事業」を5月1日からスタートすると発表した。都道府県としては全国で初めての取り組み。移住者の視点をプラスし、地域で営まれてきた商店の“再活性化”につなげるねらいがあるという。

 県によると、田舎暮らしなどを求めて県内に移り住む人は増加傾向にあり、平成18年度に44人(17世帯)だったが、25年度116人(75世帯)▽26年度171人(86世帯)▽27年度223人(113世帯)▽28年度は2月末現在で138人(83世帯)。地域の活性化につながるとして期待が寄せられているが、中山間地域などでは、移住者が開業する場所の確保や経済的負担が課題となっているという。

 一方、過疎地域の集落などでは、後継者不足により廃業する商店が増加。住民が不便さを感じたり、にぎわいが低下したりする状況が広がっていることから、県移住定住推進課が新政策として提案したという。

 ヒアリングなどを通して移住者と事業主のマッチングを支援する「わかやま移住者継業支援プロジェクト」は、移住を推進している21市町村(一部は部分指定)が対象。移住者は県や「わかやま定住サポートセンター」に、後継者を求める事業主は市町村に、それぞれ申し込んで登録。情報提供が受けられるようになるほか、候補者がいれば面談できる。商工会などと連携して行われ、引き継ぎの条件調整や経営などのアドバイスも受けられるという。

 また、登録した移住者(60歳未満、移住後3年以内)に対し、事業の引き継ぎなどにかかる費用を県が最大100万円補助する「移住者継業補助金」も実施。事業を引き継ぎながらも、店内の一部を使って古民家カフェにしたり、商品の出張販売を始めたりするなど何らかのアイデアをプラスすることが条件で、申請には計画案の提出が必要。

 仁坂吉伸知事は同日の定例記者会見で、「県内の中山間地域での田舎暮らしは、都会からの移住者らに喜ばれており、定着率も高いが、人口減少が補えるわけではない」と指摘。その上で、「集落でやめてしまう店が増えると住民も困るはず。マッチングなどで継業を支援したい」と話した。


2017.4.26 07:01
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